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青木ヶ原樹海コケさんぽ第4弾!開催しました
青木ヶ原樹海を歩いてコケ観察する、青木ヶ原樹海コケさんぽ。
ネイチャーガイドの池田さんと一緒に開催しているこの企画も、今回で第4回目です。
今回は、『樹海のパワースポットでコケさんぽ ー竜宮洞穴の化身!?ジャゴケをさがせ』と題し、樹海の中の竜宮洞穴という洞穴を中心にしたコースを考えました。
2019年6月30日。梅雨真っただ中の開催日は、しっとり雨模様。コケ観察には抜群のお天気です。
はたしてパワースポットのコケとは…!?当日の様子をレポートでお届けします。
どうして樹海にコケを見に行くの?樹海のなりたちとコケ。
そもそも、なぜ樹海コケさんぽなのか。まずは樹海のなりたちから説明しましょう。
864年、富士山の大噴火がありました(864年貞観大噴火)。このとき大地は溶岩石に覆われ、湖は分断されてしまいます。かつてあった森は失われ、ごつごつした溶岩石からゼロスタートすることに。現在の樹海の森は、植生としては比較的新しい森なのですね。
土壌がなくても岩にとりついて生えることのできるコケは、森のゆりかごの役割を果たしています。(樹海を歩いていると、コケの中から樹木の幼木が芽吹いているのが見られます)
また、標高900mと冷涼な環境であること、富士山からの湿潤な空気も流れ込むことから、樹海はコケにとって快適な環境。ところどころにある洞穴の中はさらに温度が低く、本来はもっと標高の高い場所に生えるコケも同時に観察することができたりします。
樹海と聞くと「なんか怖そう…」と思う人もいるかもしれませんが、コケ観察にはぴったりな森なのです。
今回のメイン!「剗海神社」と竜宮洞穴。
せのうみ神社、と読みます。
さて、今回のテーマは『樹海のパワースポットでコケさんぽ ー竜宮洞穴の化身!?ジャゴケをさがせ』ということで、メインの舞台は竜宮洞穴です。
この洞穴には祠があり、豊玉姫命がまつられています。これが剗海神社の御神体というわけ。
ガイドの池田さんに、樹海のなりたちや神社の由来を解説してもらいます
ちなみに、「せのうみ」というのは、ここにかつてあった湖の名前。この剗海が、富士山の大噴火によって、河口湖と精進湖と本栖湖にわかれたのです。今立っているこの場所は、かつては剗海だったのですね。
神社の由来と霊験はこんな感じ。
「剗海神社は、延喜十三年の飢饉の際、風雨順止五穀豊穣のため溶岩洞窟の入口に豊玉姫命を勧請したのがはじまり。その後、江戸時代に浅間大神が合祀されました。
富士講八海巡りの青木龍神としての霊場であり、社殿の側の水を借りて祈願すると必ず降雨ある霊験があるとされています。」
竜神は水の神。雨を司る神様。ということで、今日の雨もなんだか有難いもののように感じてきました。コケ観察には恵みの雨です…!
いざ、竜宮洞穴へ!
今回のコースは、鳥居から祠のある竜宮洞穴まで歩き→洞穴周辺を観察→鳥居まで戻って→もう一度別ルートで樹海に入って歩き→コウモリ穴駐車場で解散、というコースです。
まずは鳥居をくぐって、洞穴を目指しましょう。
立ち止まって観察し始めると進まないので、まずは歩いてくださ~い。
遊歩道があるので、歩きやすいです
いいコケがあるスポットでは、ちょっと立ち止まって解説。コウヤノマンネングサがふさふさ生えていますね。
コウヤノマンネングサ
途中で、ルーペの使い方もレクチャー。ぐぐぐっとコケに寄って、ほら、新しい世界が見えてきますよ。このへんから皆さん膝をついて、汚れるのも気にしなくなります。
鳥居から20分ほど歩くと、洞穴の入り口が見えてきました。
このあたりから、足元もゴツゴツした溶岩石になってきます。噴火で流れ出た溶岩石が固まるとき、ガス爆発が起きたりして、このような洞穴があちこちにできたのだそう。
洞穴の上までたどり着きました。ここから穴の中に降りていきますよ。
滑るから気を付けて!みんなで祠のある洞穴入り口まで降りていきます。洞穴の中からは、ひんやりした空気。下っていくと、どんどん温度が下がるのがわかります。
しっとりした岩肌には、ジャゴケがびっしり~。
”竜”宮だけに、ジャ(蛇)ゴケなのかも。このジャゴケは竜の化身かもしれませんよ。
祠まで下りたら、お参り。これより奥は落石などの危険があるため、入れません。
下りてきた道を見上げると、キラキラと木々の間から光がこぼれます。なんとも幻想的な風景…
静かな洞穴でひんやりした空気に包まれ、こりゃあ本当に神様がいそうだなあ、と思います。(本当に静かで、一人で来るとちょっと怖い)
ここでもしばらくコケ観察タイムをとりました。
洞穴周辺では、ジャゴケやフトリュウビゴケ、タマゴケなど樹海でよくみかけるコケのほか、イワダレゴケやフジノマンネングサなど亜高山帯(標高1,700~2,500m)に生える種類のコケも観察することができる珍しいスポットです。(竜宮洞穴周辺の標高は約950m)
洞穴周辺は夏でも涼しいので、標高が高い場所に生えるコケも居心地よいのでしょう。
この日一番の歓声が上がったのは、きれいなクジャクゴケ!
クジャクが羽を広げたような美しいコケ。乾燥していると縮こまってしまうので、こんなにきれいな状態で見られるのは雨の日の特権。梅雨時の開催にしてよかった~!(人間は濡れますが)
さて、後ろ髪をひかれつつ、来た道を鳥居まで戻ります。
ふたたび樹海へ。
鳥居からいったん公道に出て、別の入り口からふたたび樹海へ。森の中では気にならなかったのですが、けっこう激しく雨が降っているのにびっくり。
ここからは、樹海らしい景色とコケを楽しみながら歩きます。
溶岩石の上にたくましく生える樹
きのこや地衣類もたくさん。みんな思い思いに写真を撮りながら進みます。
きのこいろいろ
地衣類いろいろ
テラリウムでコケを育てるのもいいけれど、やっぱり実際に生えている場所を見るのは大事。自然の中でも、好みの場所に棲み分けているのがよくわかります。
コツボゴケはちょっと明るい場所が好き
ヒムロゴケは樹木に生える
溶岩を覆うように生えるムチゴケ
木の下に生えているシッポゴケ
タマゴケは意外と明るい場所にも生えている
マット状に生えるフトリュウビゴケ
転がっている溶岩石もナチュラルに苔むしている!まさに着生シリーズはこれを再現した作品なのだよ…
…と、それぞれ発見もありつつ、全2時間強のコケさんぽが終了しました。
最後は、西湖コウモリ穴駐車場で解散。ご参加の皆様、ガイドの池田さん、雨の中のありがとうございました!
まとめ:コケ観察に樹海へ行こう!
というわけで、今回ももりだくさんな樹海コケさんぽでした。
ネイチャーガイドの池田さんとは、毎回テーマを決めて、こんな感じの樹海コケ観察会を企画しています。
行ってみたい!と思われた方は、ぜひ をチェックしてみてくださいね。
上手にコケを栽培するには、自生地の環境に身を置いてみるのが一番。湿度や明るさ、温度や風通しなど、自分のカラダで感じてみると、コケの居心地もわかってきますよ。
コケ好きな皆様、いつか樹海でお会いしましょう。