ブログBlog
- ブログ
- 【役立つコケ講座】コケ植物じゃないのに「コケ」と名前につく植物
Blog
【役立つコケ講座】コケ植物じゃないのに「コケ」と名前につく植物
コケ植物は分類学上「蘚苔類(せんたいるい)」というグループに属する植物であること、その中にも様々な種類があることはこれまでにも紹介してきました。そのようなコケの多くには、タマゴケ・ホソバオキナゴケ・ヒノキゴケなど「〇〇ゴケ」と名前が付けられています。
ところが一部には、“コケ”と付くのにコケ植物ではないもの、コケ植物なのに名前に“コケ”とつかないものが存在します。今回は紛らわしい名前の「コケ」についてお話ししましょう。
コケ植物じゃないのに「コケ」と名前につく植物
モウセンゴケ。初夏から夏ごろに園芸店でよく見かける、食虫植物の仲間です。トゲトゲした葉からキラキラした粘液が染み出て、小さな虫を捉えています。
ウサギゴケ。緑のモコモコした葉っぱの中から、ウサギの顔のような可愛らしい花が咲く人気の植物で、こちらも食虫植物の仲間です。
クラマゴケ。日陰のグランドカバーとして園芸で利用されることも多いのですが、分類上はシダ植物になります。ムチゴケやウロコゴケにも似ていますよね。
コケシノブ。シノブゴケと名前も似ていて混同しやすいがシダ植物です。
ウメノキゴケ。生け花で使う松や梅の幹についた、グレーっぽい海藻状のやつ。一見すると苔類のようにも見えますが、地衣類とよばれる菌類と藻類が共生している生き物。地衣類は多くの種類にコケという名前が付けられています(ハナゴケ、ロウソクゴケなど)。
ムラサキサギゴケ。春に紫色の可愛い花を咲かせる種子植物。草地や河川敷などでよく見かけます。
コケ植物なのに名前に「コケ」とつかないコケ
一方、コケ植物なのに「〇〇コケ」と名前に付かないコケもあります。テラリウムでも人気のコウヤノマンネングサやフロウソウはコケ植物ですが、名前に「コケ」と付いていません。
名前にコケと付かずサイズも大きいので、初めて見たときには、これはコケなのかシダなのかと迷ってしまいます。
昔はみんなコケだった!?
どうしてこのような紛らわしいことが起きているのでしょうか?答えは昔の人の植物の見分け方にあります。
もともと“コケ”という言葉は、木や岩などに生える小さないきものを総称したものでした。漢字では「木毛」や「小毛」と書かれていたように、木に生える毛のようなものをまとめてコケと呼んでいたのです。
現在のように、コケ植物・シダ植物といった生物のグループが体系的に分類されるようになったのは18世紀頃から。遺伝子で細かく分類できるようになったのはごく最近の話です。
また、コウヤノマンネングサなどはコケ植物の中ではサイズが大きい種類。そのため昔の人は、“コケ”ではなく“草”として認識していたのでしょう。
そんな名残から、現在コケ植物に分類されない植物でも「〇〇ゴケ」と名前が付くものがあったり、コケ植物なのに「コケ」と付かないものがあったりするのです。
コケ間違いしないように
園芸店などでコケを探すとき、「コケ」と名前についていたのに、実はコケじゃない植物だった…ということも。コケと名の付く植物には、そんな紛らわしいものもあると覚えておくとよいですね。
苔テラリウムの育て方疑問・質問はこちらを参考にしてください。